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デジタルで読む福澤諭吉




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タイトル 西洋衣食住
別タイトル Western ways of living : food, clothes, house
著者 片山, 淳之助 (Author (Pseud))
福澤, 諭吉 (Author)
出版地 東京
出版者 片山氏蔵版
出版年 1867 (慶応3)
識別番号 福澤関係文書(マイクロフィルム版)分類: F7 A06
請求記号: 福 6-1 著作

[解説]

西洋人の用いる衣服、食器、室内調度品などの簡単な図入りの説明書で、最後に懐中時計の時の読み方を解説している。
 木版刷和紙の小型一冊本。仕上がり寸法はいろいろで、縦一五乃至一八㎝、横一一・二乃至一二・三㎝の範囲で三、四種類あるが、本文匡郭はいづれも一二・六×九・二㎝で、各種とも同一版木による刷り本と思われる。表紙に厚手の茶色和紙一枚を用い、左肩に子持罫の枠の中に「西洋衣食住完」と記した題箋を貼り、見返しはなく、巻末に「慶応義塾蔵版之印」と陽刻した長方形朱印を押してあるものと、茶色和紙を袋折りにして表紙と見返しとし、表紙中央に前記題箋と同一の書名を直接に印刷し、見返しは子持罫の枠の中を縦三つに割り、右に「慶応三年丁卯季冬」中央に「西洋衣食住」左に「片山氏蔵版」の文字を記し、巻末に前記の朱印の押捺してないものと、二種類に大別できる。刊行の年月から察するに、後者が先に出て、前者が後に作られたものであろう。題言一丁、本文十九丁、奥附なし。題言の終りに「慶応三年丁卯季冬片山淳之助誌」とし、その下に「片山之印」と陰刻した方形印が印刷してある。
 この書の著者は片山淳之助となっているが、「福沢全集緒言」の末尾に「著訳書中の二三、其旧版に他人の姓名を記し、又は諭吉立案、何某筆記など巻首に掲げたるは、当時様々の事情に任せて他名を用ひたることなれども、今回は改めて実名諭吉の文字を現はしたり。読者之を諒せよ。」と断ってある通り、他名によって出版した一例である。片山淳之助は慶応元年七月六日の入門で、入門帳には淳之介と記し、後に淳吉と改めている。丹後田辺牧野河内守の家臣とある、新銭座時代の慶応義塾教員の中にも、文典ならびに雑書素読の担当として片山淳之助の名が出ている。著書も相当に多い。
 この書の版本の第十四丁、箪子の上に鏡のある図の説明文が、明治版全集とは全く別の文章になっていることは、注意しておかねばならない。
 此図は箪子の上に鏡を載せたる所なり。西洋服はぼたん、はめはずし面倒にて、鏡を 見ずに手さぐりには出来がたし。且朝夕髪もなで付ることなるゆへ、一と間の内には かならず一づづ鏡の用意あり。衣服を着用し終れば、香水を襟の廻りにふりかけて不 浄を払ふ。かがみの左の脇にあるものは香水のびんなり。鏡の前にあるものは衣裳の ちりを払ふはけなり。其名を「プロシ」どいふ。都て西洋人は日本人よりも身の廻り をきれいにする風俗なり。
 これが原本にある文言であるが、明治版福沢全集には、この頁の説明文が次のように改まっている。
 鏡は日本にも古来在り来りの金属製のものとは異なり、自惚鏡の大なるものにして、 極く厚き硝子にて造り、縁は彫りものなどにて飾りたるものもあり。多くは羅紗刷毛 香水瓶などと共に箪子の上に備へ付けあり。箪子には桐を用ゐざるも、堅くして木目 の美しき板を撰み、着物其外装飾品を納れ置くこと、日本の習慣と異なることなし。
 われわれの知っている限りでは、明治版全集の文言を掲げてある版本を見たことがないので、「福沢諭吉全集」では元の版本の文言に復元しておいた。明治版全集の文言を掲げた版本を、もし見た人があるならば、御高教を吝まれないことをお願いする。


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