Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
デジタルで読む福澤諭吉
各巻の解説



<検索 : 訓蒙窮理圖解. 上 >
タイトル 訓蒙窮理圖解. 上
別タイトル Illustrated book of physical sciences
訓蒙窮理図解
著者 福澤, 諭吉 (Author)
出版地 東京
出版者 慶應義塾同社
出版年 1868 (明治元)
識別番号 福澤関係文書(マイクロフィルム版)分類: F7 A08-01
請求記号: 福 8-1 著作

[解説]

初学入門のための物理学の初歩を童蒙にわかり易く説いたもので、当時の小学校教科書などに広く用いられた。
 木版和紙三冊の一七・七× 一二cmの小型本である。初版本は網代模様の地紋の黄色の表紙で、左肩に子持罫の中に「訓蒙窮理図解 初編 上(中、下)」と記した題箋が貼ってある。「訓蒙」の二字は角書きである。題箋には初編とあるが見返しにも本文にも版心にも「初編」の文字は見当らない。或は他日この続編を書く意図があって「初編」の文字を題箋には掲げたが、この三冊だけで終ってしまったものかと思われる。見返しは白の和紙で、上部に和綴じの書物を開いた形を描き、「明治元年戊辰初秋訓蒙窮理図解」の文字が、いっぱいに記されてある。その下に、洋風の室内に西洋婦人が椅子に掛け洋書を読んでいる傍らに、三人の西洋人童女が同じく洋書を開いて立っている有様を描き、左側の柱のような中に「福沢諭吉著」と記し、右下隅の枠の中に「慶応義塾蔵版之印」の朱印が押してある。巻の一は序二丁、凡例一丁、目録二丁、本文十八丁、巻の二は本文二十二丁、巻の三は本文十八丁、奥附はない。
 序文の末尾に「慶応四年戊辰初秋」とあり、表紙の見返しに「明治元年戊辰初秋」と記してあるが、当時の暦では初秋は七月であるから、明治と改元される前に序文を脱稿し.版木の彫刻中に九月に改元があったので、見返しには「明治」の年号を用いたのであろう。従ってこの書の刊行は九月以降のことでなければならない。明治元年十二月八日付山口良蔵宛福沢書翰に、このほど「窮理図解」ができたから紀州藩へ廻したとの旨を記しているから、この書の刊行は九月から十二月までの間のことであったと思われる。
 再版本は、見返しの左外側に「明治四年辛未六月再刻」と記され、版心の表の下端に「再」の字が出ているだけで初版本と内容に於いて変りはない。上中下の三分冊ものと、これを一冊に合綴したものとがある。表紙は網目模様の地紋の濃藍色のもの、同じく紫色のもの、黒白の斜め縞の中に「慶応義塾蔵版」の六字を散らし書きに陰刻し全面に銀粉を刷きつけたものと、三種類ある。
 三版本は、見返しの枠の左外側に「明治六年六月改正再刻」と記してある。改正された箇所は、巻の三の第十五丁ウラの月の盈虚の説明図が初版再版に比して簡略化され、本文の字句に僅かな変更が見られるに過ぎない。しかし、見返しに「改正再刻」の旨を記しながら、本文は初版再版と同じものを往々にして見受けるから注意を表する。表紙は、茶と藍との横縞のものと、黒白斜め縞に「慶応義塾蔵版」の六字を陰刻し全面に銀粉を刷いたものと、二種類ある。
 この書も夥しく売れて人口に喰炙したので、この書の題名をもじって「胡瓜遣」などという戯作戯文の書まで出版されたほどである。


画像をクリックするとeBOOKが表示されます。 (※Flash Player 7以上をご利用下さい。)