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デジタルで読む福澤諭吉
各巻の解説



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タイトル 文字之教 : 第一文字之教
別タイトル Elementary reader for children
著者 福澤, 諭吉 (Author)
出版地 東京
出版者 福澤氏蔵版
出版年 1873 (明治6)
識別番号 福澤関係文書(マイクロフィルム版)分類: F7 A21-01
請求記号: 福 21-12 著作

[解説]

初学児童のために文字を教えながら短文を作る練習をさせるための教科書として編纂されたものである。端書に漢字制限に関する福沢の意見があるので、国語学者などの注目を惹いている著作である。
 木版半紙判(二二・二× 一四・八cm)。「第一文字之教」「第二文字之教」「文字之教附録」の三冊から成る。
 「第一文字之教」は網目模様の地紋の濃藍色表紙で、左上隅に題箋を貼る。題箋は子持罫の枠の中に「第一文字之教 全」と記す。見返しは黄色の和紙を用い、子持罫の匡郭の中を縦三ツ割に区轄し「福沢諭吉著/第一文字之教/明治六年十一月 福沢氏版」と記し左下隅に「福沢氏蔵版印」と陽刻した長方形朱印を押捺してある。端書四丁、本文は第五丁から第二十四丁まで、版心には「文字之教一」と記してある。奥附はない。
 「第二文字之教」は表紙も見返しも版心も「第一」と全く同じ体裁で、ただ「一」の字が「二」の字に改まっただけの相違である。本文は三十丁、奥附はない。
 「文字之教附録」は手紙の書き方を指導するもので、題箋にも「文字之教附録手紙之文 全」と題し、見返しにも同様の表示がしてある。端書一丁、本文は第二丁から第三十丁まで。奥附はない。
 以上の三冊で一部を成すものであるが、発売に当っはそれぞれの見返しをそのまま白い土佐半紙に印刷した外包みに別々に包まれて、一冊づつ売り出されたもののようである。
 明治九年に再版本が出た。網目模様の間に「中近堂」の三字を散らした地紋の濃藍色の表紙を用い、その他はすべて初版と同じ体裁で「第一」の巻末、ウラ表紙の内側に次の通りの奥付がある。
 明治六年九月六日出版 明治九年二月二日版権免許 定価金十二銭五厘 東京府平民
 著者兼出版人福沢諭吉 芝区三田二丁目二番地
 中近堂
 通三丁目丸善書店
 通一丁目大倉孫兵衛
 南伝馬町目黒支店
 この中近堂とは福沢門下の中島精一の経営する書肆で丸善などと共に、慶応義塾出版社の刊行物の売捌元のやうな仕事を担当していた。そのため、この再版の表紙にその社名を入れた用紙を使ったものと思はれる。「第二」の再版本は未見であるが、「附録」も第一と同様の表紙で、見返しに取扱書籍目録を掲げ、木文は初版と同様で、第三十丁ウラだけが初版と異なっている。第三十丁は本文がオモテで終り、ウラは左上隅に「文字之教附録終」と初版には記してあるが、再版ではこの七字を右上隅に移し、頁の中央に
 著者兼出版人
 明治九年二月二日版権免許
 東京第二大区九小区 三田弐町目拾三番地 福沢諭吉
 と記し、「東京第二大区九小区/ 三田弐町目拾参番地/福沢諭吉」と刻した長方形朱印と「定価拾弐銭孔厘」と刻した長方形黒印とが捺してある.
 更にこの書はその後にも版を重ねたものの如く、再版本とよく似た表紙で、「中近堂」三字の代りに「出版社」の三字を散らした地紋を用いた表紙のものがある。これは出版年月は明らかでないが、「附録」の巻末に「慶応義塾出版社証」のスカシ文字を漉き込んだ厚雁皮紙一葉を添附して製本したものがある。この一葉は表に「明治十二年十二月ヨリ以後ノ製本ハ此文字漉入ノ紙ヲ以テ本書真版ノ証トスル者也」と墨刷し、裏は一面に細かな唐草模様の中央下部に「慶応義塾出版社」の文字を掲げ、全面を緑色に刷ってある。思ふに明治十二年末か十三年ごろの第三版であらう。


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