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デジタルで読む福澤諭吉
各巻の解説



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タイトル 民間経済録. 初編
別タイトル Popular economics
著者 福澤, 諭吉 (Author)
出版地 東京
出版者 福澤氏蔵版
出版年 1877 (明治10)
識別番号 福澤関係文書(マイクロフィルム版)分類: F7 A26-01
請求記号: 福 26-1 著作

[解説]

初学のための経済原論ともいうべきもの。西洋学説丸抜きの経済論の行われていたその当時にあって、日本経済の実状に即した経済論を展開している点に注目すべき著書である。
 初編と二編とある。初編は明治十年十二月初版。木版半紙判〔二二・五× 一五cm) 一冊本。網目模様地紋の濃藍色表紙。左肩に「福沢諭吉著/民間経済録 全」の文字を子持罫で囲んだ題箋を貼り、見返しは黄和紙に「福沢諭吉著/民間経済録 全/ 明治十年十二月新刻 福沢氏版」と三行に記し、左下隅に「福沢氏蔵版印」の朱印が押してある。序二丁、本文四十九丁。巻末に「明治十年十二月五日版権免許 著述出版人 東京三田二丁目十三番地 福沢諭吉」と記され、売捌書林として、東京三田二丁目慶応義塾出版社、同日本橋通三丁目丸屋善七、同芝三島町山中市兵衛、同桜田本郷町松口栄造の書林名が掲げてある。
 この初編の初版本と見られるものに二種類の版本がある。内容には少しも差異はないが版の書体に微妙な違いがある。多分初版の版木が磨滅したので改刻したのであろうが、再刻の旨はどこにも断ってない。明治十三年に二編が出版されたとき、これと併せて売るために初編の第三刻が出た。これ亦内容に変りはなく、ただ刊行年月が、表紙見返しでは「明治十三年八月第三刻」、巻末では「明治十三年七月第三版」と改まっているだけである。この三版の巻末には「慶応義塾出版職証の八字を透かしに漉き込み、その上に「明治十二年十二月ヨリ以後ノ製本ハ此文字漉入ノ紙ヲ以テ本書真版ノ証トスル者也」と印刷した一枚の紙が挿入されてある。夥しい偽版を防止するための手段である。
 福沢は最初はこの書をこの一編だけで済ませるつもりであったのであろう。「民間経済録全」として、どこにも第二編を予定しているような字句は見当らない。然るに初学者のための通俗経済学の書物が殆んど無かったので、この書は非常な歓迎を受け、更にやや上級の続編を要求するの声が高かったのであろう。明治十三年八月二編を出版した。
 二編の体裁は全く初編と同様であるが、表紙の地紋の網目が初編のそれよりもやや細かくなり、網目の中に「出版社」の三字が散らしてある。見返しの刊年月が「明治十三年八月新刻」となり、題名の下に「二篇」の文字が掲げられているだけの相違である。巻末の刊記は次のようになっている。
 明治十三年七月廿九目版権免許
 同 年八月出版
 定価三十銭
 東京府平民
 著者出版人 福沢諭吉 芝区三田二丁目二番地
 発売元 慶応義塾出版社
 右同所
 東京日本橋通三丁目丸屋善七
 同芝三島町山中市兵衛
 大阪北久宝寺町丸善支店
 同備後町梅原亀七
 「福沢全集緒言」によれば、この書は最初から学校読本の体裁に作ってあったので、学校用として「五万部も八万部も世上に流布した」が、明治十四年の政変以後、政府の教育方針一変のため、福沢の著者は「唯の一部も検定に及第せざりしこそ可笑しけれ」という有様であった。ところが明治二十五年に至り、堀越角次郎が私費を投じて郷里群馬県の学校に寄附するため二千五百部を活版に附した。これが合本「民間経済録」である。合本は菊版、洋紙、活字印刷、百五十二頁、黒色総クロース装で、旧版と異なるところは、書中の熟字に非常に多くの特殊な振仮名を施したことである。例えば「流行」(はやり)「幸甚」(しあはせ)「照合し」(あはし) 「戦争」(いくさ)等の如き類である。


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