2017/04/06 新たに 「慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション」 を公開しました。

Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
006 『イングランド年代記』 (ウェストミンスター、ウィリアム・キャクストン印行、1480年)
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Author :
Title : Chronicles of England [English]. Add: Higden: The description of England
Language : eng
Format : fº
Place of Publication : Westminster
Printer : William Caxton
Date of Publication : 1480
Binding : Early 19th-century red straight-grained morocco gilt, Duke of Devonshire arms on both covers and his cypher of spine, doublures and lining of olive straight-grained morocco gilt, with dentelle border, gilt edges, bound by Charles Hering with his label.
Bibliographical Notes : 180 leaves (of 182); wanting π1 and a1; x8 misplaced after y5.
Provenance : 1. The Duke of Devonshire with the Chatsworth bookplate, sold May 18, 1915. 2. Acquired by Henry E. Huntington and sold as a duplicate in 1924 (penciled note inside back-cover). 3. Acquired by Roderick Terry (with bookplate), and sold at the Anderson Galleries, May 2, 1934. 4. Arthur A. Houghton, Jr. (with booklabel), sold at his sale, Christie's, 13 June, 1979, lot 108. 5. Acquired by Bernard Quaritch for Keio University. (MB, p. 115).
ISTC : ic00477000
Reference : Goff C477, HC 5000, GW 6670, IJL 108, IJL2 132, PP 14, T 22, MB 17
Shelfmark : 120X@494@1
Acquisition Year : 1979 (from Houghton Sale at Christie's in 1979)

 1480年6月10日の日付が印刷されている。ウェストミンスターのウィリアム・キャクストン工房にて印刷。日付が明らかなものの中ではキャクストンによって折記号が附された、はじめての本。下敷きにした写本は、『ブルート』である。『ブルート』は、当時もっとも人気が高かった年代記の一つ。ブリテン島を大アエネアスの子孫であるブルータスが征服するところからはじまるので、この名がある。この歴史書は、ネンニウス、ダグラス・オブ・グラストンベリ、そしてジョフリー・オブ・モンマスらをベースにし、後の写字生が多くの追加書きを施した。キャクストンもこのテキストに1419年以降の史実を追加し、1461年のエドワード四世即位までの作品とした。また、『アーサー王の死』(1485)を出版する際、特に「アーサー王と皇帝ルシアスの物語」を編集するために、キャクストンがこの版もしくは第二版同書を下敷きにした可能性があるとされる。小型フォリオ判。
 慶應本は、1813年にデヴォンシャー公爵が購入。再製本の前に洗浄もされた。今は、2枚の何も書かれていないi葉とa1葉が欠落しているほかは、完本となっている。『イングランド年代記』の現存する17の完本の1つ。もっともドゥ・リッチは全部で35の1480年版『イングランド年代記』を記録に留めている。180葉。キャクストンの活字タイプ4を使用。1ページ40行。大文字とパラグラフ・マークが、挿絵画家により朱の手描きで挿入されている。現存する『イングランド年代記』初版としてもっともページサイズが大きいのは、ボードリアン図書館所蔵のものだが、慶應本はそれについで大きい。260×171mm(約10 1/4 × 6 3/4インチ)。一丁は8葉であることが多い。ii-viii, a2-8, b-u8, x1-7, y1-5, x8, y6。x8葉は、再製本の際にy5葉とy6葉との間に誤って綴じられてしまった。
 表紙は柾目模様のある真紅のモロッコ革の総クロス。裏には、空押しの上に金箔をかけた装飾模様あり。ごく小さな押し型装飾に金箔を施した水玉模様もある。デヴォンシャー公爵の宝冠図形とモノグラムが施されている。公爵の紋章が、表表紙と裏表紙の真中に、盾を支える動物と、モットー、'Cavendo Tutus' (警戒を怠らねば安全がある)と共に金箔で型押しされている。表紙の背貼り材と飾り見返しには、柾目模様のついた黄緑色のモロッコ革を使用。背貼り材と飾り見返し両方に、平に金箔の筋線をつけた板を使用。角には小さな花形装飾も見られる。また、飾り見返しには幅広の型レース模様装飾の縁取りがされている。小口金の書物。製本者はチャールズ・ヘリング、商標入り。1813年もしくはそれ以降、デヴォンシャー公爵のために製本された。真紅の総レバント・モロッコ革の文書箱付き。文書箱内部に収めるための布が付いている。
 慶應本は、十九世紀最大のキャクストン本収集家であるデヴォンシャ公爵、米国の鉄道王でかつカリフォルニアに大図書館を持っていたヘンリー・E・ハンティントン、更に二十世紀の米国ガラス王であり本の収集で知られアーサー・A・ホートン・Jrらの手を経てきた一書。書物収集史という面からも貴重な一書である。
 
 【参考文献】
 De Ricci, Seymour, A Census of Caxtons, Illustrated Monograph, 15 (London: Bibliographical Society, 1909), no. 29
 Catalogue of Books Printed in the XVth Century Now in the British Library, BMC, part XI: England, ed. by Lotte Hellinga ('t Goy-Houten: Hes & De Graff, 2007)
 
 (MT)

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