Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
008 偽ヴァンサン・ド・ボーヴェ 『道徳の鑑』 (シュトラースブルク/ストラスブール、ヨハン・メンテリン印行、[1476年11月9日])
 fol. 2r fol. 2r
π2r π2r front-pde front-pde
fol. 6r fol. 6r fol. 9v fol. 9v
fol. 39r fol. 39r fol. 475v fol. 475v
fol. 476r fol. 476r fol. 476v fol. 476v
upper cover upper cover lower cover lower cover
Author : Vincentius Bellovacensis [psd-Vincent de Beauvais]
Title : Speculum morale
Language : lat
Format : fº
Place of Publication : Strassburg
Printer : Johann Mentelin
Date of Publication : [1476-11-9]
Binding : 16th-century German blind-stamped pigskin over wooden boards.
Bibliographical Notes : 474 leaves of 477; wanting the blank fols. 1, 5, and 477, unfoliated and unsigned; without colophon; some marginalia in a contemporary hand.
Provenance : 1. Franciscan Canons in Polling (1744). 2. Herschel V. Jones. 3. Eric Sexton, Christie's 1981, lot 164.
ISTC : iv00288000
Reference : Goff V288, C 6252(without), BMC I 58 (without), IJL 293, IJL2 378
Shelfmark : 143X@5@1
Acquisition Year : 1981 (from Sexton Sale at Christie's New York in 1981)

 13世紀のドミニコ会士ヴァンサン・ド・ボーヴェ(Vincent de Beauvais)による百科事典的著書『大いなる鑑』(Speculum maius)の第3巻あるいは第4巻として扱われているが、実際にヴァンサン・ド・ボーヴェが編纂した他の3巻と違い、本書のみは、彼の死後別人により追加された(IKUL 009参照)。内容は、主にトマス・アクイナス(c. 1225-74)の『神学大全』(Summa theologiaeまたはSumma theologica)の抜粋より成る、神学と倫理学である。18世紀以降、『道徳の鑑』は編者不明の追加の巻とされてきたが、後の編者の独断による付加という見解と、ヴァンサン・ド・ボーヴェの残した計画や記述に由来する追補という意見とがある(Ullman, p. 319; Voorbij, p. 261)。
 印刷者のヨハン・メンテリン(fl.1458-78)はアルザス地方のシュレットシュタット(現在の仏、セレスター)に生まれ、同地方のシュトラースブルク(現在の仏、ストラスブール)最初の印刷業者として知られる。1460年にラテン語の聖書を、1466年には初のドイツ語訳聖書を、それぞれ刊行している。ドイツにおけるローマン体活字を用いた印刷の先駆者であり、初めて自分の印刷本の広告を発行した印刷業者の一人でもある(Glaister, p. 320)。工房は娘婿の一人アドルフ・ルッシュ(IKUL 007参照)に引き継がれる。
 メンテリンの印刷した『道徳の鑑』は、刊記があるタイプと、ないタイプに分類されるが、慶應本は後者である。刊記を持つタイプの日付は1476年11月9日とある(Ashley, p. 41)。赤インクで頭文字などの装飾が入れられている場合もあるが、慶應所蔵のものには装飾は一切入っていない。装飾頭文字の入るべき部分には、2行分から12行分にわたる大小様々な空白が残され、フォリオ7rに一箇所だけ、ラテン語のコメントと共に便宜上書き入れたと考えられるPの文字がある。ラテン語の書入れがあるページは20を超え、40ページ分以上指や手の跡が黒くついている。文字だけでなく、フォリオ9vなど、重要箇所を指で示す手のマークが描かれている例も幾つかある。同じくフォリオ9vに見られるように、書き入れの端が失われたページもあり、後世装丁をする際に紙の端が裁断された事がうかがえる。蔵書票から、1744年にポリング(独、バイエルン州)のフランシスコ会が所蔵していたことがわかり、π2rにも、インクでPollingと書かれている。
 
 【参考文献】
 Ashley, Frederick W., Catalogue of the John Boyd Thacher Collection of Incunabula (Washington, DC: Government Printing, 1915)
 Glaister, Geoffrey Ashall, Encyclopedia of the Book, 2nd edn (New Castle, DE: Oak Knoll; London: British Library, 1996)
 Ullman, B. L., 'A Project for a New Edition of Vincent of Beauvais', Speculum, 8 (1933), 312-26
 Voorbij, J. B., 'A Bower's Use of Vincent of Beauvais', in 'Scotichronicon' by Walter Bower in Latin and English, ed. by D. E. R. Watt and others, 9 vols (Aberdeen: Aberdeen University Press, 1987-98), IX, 260-80
 
 (YO)

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