2017/04/06 新たに 「慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション」 を公開しました。

Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
009 ヴァンサン・ド・ボーヴェ 『諸学の鑑』 (シュトラースブルク/ストラスブール、‘R'の印刷業者[アドルフ・ルッシュ]印行、[1477年から1478年2月11日の間])
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Author : Vincentius Bellovacensis [Vincent de Beauvais]
Title : Speculum doctrinale
Language : lat
Format : fº
Place of Publication : [Strassburg]
Printer : [The R-Printer (Adolf Rusch)]
Date of Publication : [betw. 1477 and 1478-02-11]
Binding : Old blind-tooled brown morocc, rebacked, preserving original spine, brass clasps and catches.
Bibliographical Notes : 404 leaves, including preliminary and terminal blanks; spaces for initials, unrubricated throughout; some contemporary marginalia.
Provenance : 1. Herschel V. Jones. 2. Eric Sexton (bookplate), Christie's 1981, lot 166.
ISTC : iv00278000
Reference : Goff V278, C 6242, IJL 291, IJL2 375
Shelfmark : 143X@4@1
Acquisition Year : 1981 (from Sexton Sale at Christie's New York in 1981)

 ヴァンサン・ド・ボーヴェ(Vincent de Beauvais, ラテン語名Vincentius Bellovacensis; c. 1190-1264)はドミニコ会士で、中世最大の百科事典『大いなる鑑』を編纂した事で知られる。フランスのボーヴェに生まれ、パリ大学に学び、1220年頃パリでドミニコ会へ入会した。恐らく1230年頃ボーヴェに開かれた修道院に派遣され、近郊にシトー会の修道院を建設したルイ9世(1214-70、在位1226-70)の知己を得る事となる。『大いなる鑑』以外にも数点の教育的・宗教的著作を残している(Guzman, pp. 453-55)。
 『大いなる鑑』は、400を超える原典を含み、ディドロ(1713-84)、ダランベール(1717-83)らによる『百科全書』以前の最大の百科事典といわれ、イタリアの人文主義者達にも影響を与えた(Ullman, pp. 313, 324)。13世紀当時得られる限り全ての古典作家や宗教家達による著作の引用や抜粋を、系統立てて編纂し直した書物で、『大いなる鑑』のみに現存する著作も含む。閲読を望んだルイ9世の援助を受け、先人達の業績をより利用しやすい形にまとめ、ドミニコ会士達の説教の種本や聖書を学ぶ際の手助けとするため編纂された。ヴァンサンは著述をなるべく変化させず、折々'Actor'(Auctor(作者))等の名で文章を加える以外には、もとの記述を並べるだけに留めている(Ullman, p. 313)。『大いなる鑑』は3巻、あるいは4巻から成るが、1244年から1245年頃の段階では、『自然の鑑』と『歴史の鑑』の2冊で構成されていた。それが、1256年からその翌年までには、『自然の鑑』が増補改訂の上二つに分けられ、うち一冊が『諸学の鑑』となり、『歴史の鑑』の改訂版を併せ三部作となった(Voorbij, p. 261)。ヴァンサンが行ったのはここまでだが、その死後『道徳の鑑』が追加され、四巻本となった(IKUL 008参照)。フランス語、ドイツ語、スペイン語、オランダ語、カタルーニャ語に訳され、15世紀に4回、16世紀、17世紀にもそれぞれ1回ずつ、4巻揃って印行されている。本書『諸学の鑑』は、人間は学問教育によって救済されるという考えのもと、論理学、修辞学、詩学、倫理学、経済学、教育学、政治学、法学、工学、医学、数学、物理学など様々な学芸を扱っている(Ullman, p. 321)。
 アドルフ・ルッシュ(IKUL 007の項参照)は慶應所蔵のものとは別の版も刊行しているが、その版とは、全体の最後の行に'ambulet'とある事により、区別される(ISTC, iv00278000)。本文は2段組だが、フォリオ25r-36rにあたるギリシャ語やラテン語の小辞典の部分は4段組になっていて、途中30v-32vには見出しの大文字が書き入れられている箇所がある(31r参照)。それ以外に、フォリオ1r、23r、27r、31r、85v、401vにラテン語の書き入れがあり、ロンドン好古家協会会員だったエリック・セクストン(Eric Sexton)の蔵書票が左見返し紙に2種類貼られている。(IKUL 007参照)。装飾は一切入っておらず、どのアルファベットを入れるかを示す文字も基本的にはないが、フォリオ20rのように、それがある場合も散見される。フォリオ400v、401r間に見られるように、ラテン語写本の切片を間に挟んで綴じ、補強している箇所が多い。
 
 【参考文献】
 Guzman, Gregory G., 'Vincent of Beauvais', in Dictionary of the Middle Ages, ed. by Joseph R. Strayer and others (New York: Scribner, 1982- ), XII (1989), 453-55
 Ullman, B. L., 'A Project for a New Edition of Vincent of Beauvais', Speculum, 8 (1933), 312-26
 Voorbij, J. B., 'Bower's Use of Vincent of Beauvais', in 'Scotichronicon' by Walter Bower in Latin and English, ed. by D. E. R. Watt and others, 9 vols (Aberdeen: Aberdeen University Press, 1987-98), IX, 260-80
 
 (YO)

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