2017/04/06 新たに 「慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション」 を公開しました。

Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
022 [論理学三著作合冊本]
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Title : [A bound copy of three logical works]
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Binding : Contemporary blind-stamped pigskin over wooden boards with the later addition of the letters IADC and the date 1620 in black; with catches, clasps missing; on the front paste-down is written the table of contents in a contemporary hand.
Bibliographical Notes : A-I8 K4; 76 leaves.
Provenance :
ISTC :
Reference :
Shelfmark : 120X@735@1
Acquisition Year : 1987

 この合冊本(ザンメルバンド)に含まれた個々の著作についてはそれぞれの項であつかうが、ここでは合本全体としての成立とその特徴について記す。この書におさめられた著作はいずれも15世紀末に印刷されている。
 まず、この合本に収められている著作は、いずれもドミニコ会士の手による著作である、あるいは少なくともドミニコ会士の伝統に強く結びつけられている点に注意する必要がある。第一作(IKUL 022a)の著者であるアルマンド・ド・ベルヴェゼル(アルマンドゥス・デ・ベロヴィス)は14世紀のドミニコ会士である。第二作(IKUL 022b)の真の著者はトマス・アクイナスではないが、当時この著作はトマス・アクイナスの著作とされていた。アクイナスは13世紀のドミニコ会士であった。また第三作には16世紀の刊本、ジロラモ・サヴォナローラ『論理学摘要』(ライプツィヒ、メルヒアル・ロッター、1516年)が収められ、この本の著者であるサヴォナローラはいうまでもなく15世紀フィレンツェの有名なドミニコ会士である。
 ドミニコ会(のみならず托鉢修道会)における中等教育以上において論理学は必須であったが、この合本におさめられている著作はすべて論理学に関するものである。したがって、この合本に収められた著作はドミニコ会における論理学教育・研究の伝統という点で一致していると考えられる。こうした印象をさらに強める証拠として、この合本の所有者(のひとり)がドミニコ会士だったことがあげられる。とびらの上部にある書き込みは「ドミニコ会士ヨハンネス・ナウシュタット(ライプツィヒ修道院所属)」(Frater Johannes Naustadi ordinis predicatorum conventus Lipsensis)と述べる。
 この人物がドミニコ会のライプツィヒ修道院付属だったことは、この合冊本の第二作と第三作がライプツィヒで刊行されていることと無関係ではないだろう。さらに、第二作は単にライプツィヒで印刷されたのではなく、テクストへの改訂もライプツィヒで行われたと表題で示している。このテクストの改訂に同市のドミニコ会士が何らかの関わりがあった可能性は高い(さらなる議論は第二作IKUL 022bの項を参照)。なお、第一作はバーゼルで印刷されている。
 第一作と第二作は印刷の時点では飾り文字の部分が空白であけてあるが、まったく同じ書体による手書きの赤字で簡素な飾り文字が付け加えられている。これを加えたのが、上述のドミニコ会士ヨハンネス・ナウシュタットだった可能性はあるが確認されていない(あるいは確認できない)。手書きの飾り文字が付け加えられたのは第一作と第二作が合本となって以降に加えられたものと考えるのが自然だろう。
 以上述べたように、今後明らかにされるべき余地はあるが、この合冊本(ザンメルバンド)は、ライプツィヒのドミニコ会における論理学という文脈のなかで成立したことは確かなことと思える。
 この合本の小口の天の部分には、第一作と第三作をそれぞれ示すArmandusとLogica B. theo et Sauo[na]roleという言葉が記されている。
 
 (YA)

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