Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
023b カロルス・マネケン 『手紙の書き方』 ([シュトラースブルク/ストラスブール、マルティン・ショット]; 或いは[ハイデルベルク、ハインリヒ・クノプロホツァー]、1490年1月8日)
 a1r a1r
π1r π1r f4v f4v
m7v m7v
Author : Maneken, Carolus
Title : Formulae epistolarum
Language : lat
Format : 4º
Place of Publication : [Strassburg]
Printer : [Martin Schott]; also recorded as: [Heidelberg: Heinrich Knoblochtzer]
Date of Publication : 1490-01-08
Binding : Contemporary German quarter calf over wooden boards with blind-stamped leather back, original manuscript title label on upper cover, spine missing.
Bibliographical Notes : π6 a8 b-c6 d8 e-f6 g8 h-I6 k-m8; 89 leaves (of 90), wanting the first page; paraph marks and lines supplied in red.
Provenance : Nicholaus Ellenbog 1494 (signature; inside the front and back covers).
ISTC : im00184000
Reference : Goff M184, HC 10674*
Shelfmark : 120X@752@1
Acquisition Year : 1988

 本書はキケロ(106-43 BCE)やアエネアス・シルヴィウス(Aeneas Silvius, 1405-64; ローマ教皇2世の筆名)などの書簡を手本としたラテン語の「書簡作文法(ars dictaminis)」の教授本である。「書簡作文法」とは、おもにキケロが定めた修辞学の規範に則して、書簡などの文書の作成法をまとめたものである。11世紀後半のイタリアでモンテカッシーのベネディクト会修道士たちのあいだで始まり、中世末期までにはヨーロッパ全域に普及していた。
 本書の著者カロルス・マネケン(c. 1419-93)はゲント、もしくはカッセルの生まれで、リース大学(最も早い時期に文学部を設立した4つの大学のひとつとされる)で修士号を修めた。後にルーヴァン大学で教鞭を執り、その時期にこの著作をヨハン・フェルドナーの印刷所から上梓した。
 本書は上記の「書簡作文法」の伝統に基づき、手紙を宛てる相手の身分やその人物と自分との関係、また手紙を書く目的に合わせてどのように手紙をしたためるかを記している。例えば慶應本の第11葉には「息子が父親にお金を頼むときどのように頼むべきか」といったように、きわめて具体的な手紙の書き方が示されている。
 1476年の初版出版以降、ライン地方を中心とした各地で印刷され、15世紀だけでも46以上の版が出版されており、需要の高さが窺われる。しかし1520年頃になると、エラスムスなどの次世代の人文主義者たちの台頭に伴い、その人気は薄れていった。
 慶應本は最初の一葉(タイトルページ)を欠き、全部で89葉からなる。印刷した後に赤インクで装飾文字やパラフマークが追加されている。
 
 【参考文献】
 James J. Murphy, Medieval Rhetoric: A Select Bibliography (Toronto: University Toronto Press, 1971)
 Le cinquieme centenaire de l'imprimerie dans les anciens pays-bas: catalogue, exposition a la bibliothèque royale albert 1er(Bruxelles: Bibliotheque Royale Albert 1er, 1973)
 
 本稿の執筆にあたりジョン・ゴールドフィンチ氏、赤江雄一氏に有益な情報を戴いた。
 
 (ST)

画像をクリックすると高精細画像が表示されます。  <執筆者・協力者一覧>  <略語一覧