Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
028 ボエティウス 『著作集』 (ヴェネツィア、ヨハネス&グレゴリウス・デ・グレゴリイス印行、1491-92年)
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Author : Boethius, Anicius Manlius Torquatus Severinus
Title : Opera
Language : lat
Format : fº
Place of Publication : Venice
Printer : Johannes and Gregorius de Gregoriis, de Forlivio
Date of Publication : 1491-92
Binding : Early 19th-century(?) vellum antique.
Bibliographical Notes : Vol.1 only; 62 leaves (of 68), wanting 6 folios of quire b; spaces for initial capitals; a number of woodcut diagrams.
Provenance :
ISTC : ib00767000
Reference : Goff B767, IJL 082, IJL2 097, H 3351*, BMC V 341, GW 4511
Shelfmark : 141X@72@1
Acquisition Year : 1989

 中世の大学では学問を「クアドリビウム(4科)」と、文法・論理・修辞から成る「トリビウム(3科)」の自由七科に分類した。「クアドリビウム」すなわち、数学(数そのもの)、幾何学(空間の数)、音楽(時間の数)、天文学(空間と時間の数)は、数を万物の根本原理としたギリシャの哲学者ピタゴラスによる数学の分類に基づく。本書は、ローマの哲学者アニキウス・マンリウス・トルキアトゥス・セベリヌス・ボエティウス(c. 480-524)が著した「クアドリビウム」を初めて印刷したものである。
 ボエティウスは、「ギリシャ語を解する最後のローマ人」と称され、この『著作集』には、彼がギリシャ語の作品をラテン語に翻訳して注釈を加えたものが多く含まれている。第1部に当たる「数学、幾何学、及び音楽」は彼の最初期の作品で6世紀初頭に書かれている。音楽理論は彼による創作とされ、その音楽理論研究は西洋音楽の基礎となり、中世を通して音楽理論の最高権威として認められた。その後、多面的な音楽が興るにつれて彼の音楽理論が次第に注目されなくなり音楽家の訓練に適さないとされたことがあった。しかし、中世における大学の勃興と共に、彼の著作は大学での自由七科の一つとして研究される音楽の基本書となり、学術研究上重要な文献となった。そうした理論が初めて印刷されたことは極めて重要である。
 本書は、1492年8月18日印刷の第1部と1491年3月26日印刷の第2部から構成される。第2部はボエティウスによるアリストテレスの著作のラテン語訳と解釈書などの作品集で、中世におけるアリストテレス派の唯一の源泉となった。慶應本は第1部「ボエティウスの数学、幾何学、及び音楽」のみが製本されたものである。各ページの大文字部分にガイドレターはあるものの空白のままである。ゴシック体活字が付された木版の図像や表が数多くあり、音楽のページでは、「音」を鼓動と拍動の速さの違いを量的な数で表し、それを木製図版にしていることは高度な印刷技術を要したと考えられる。折丁Aの記号が丁寧に消されていて代わりに新たな丁付けが各ページの右上または左上になされている点は注目に値し、今後の研究が待たれる。第1部、第2部が合本されたものがある中で、慶應本の様に分けて出版されたものが相当数あり、もともと分冊で出版されていたという見方もある。
 
 【参考文献】
 Anicius Manlius Severinus Boethius, Fundamentals of Music, trans. with notes by Calvin M. Bower, ed. by Claude V. Palisca (New Haven: Yale University Press, 1989)
 
 (SI)

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