2017/04/06 新たに 「慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション」 を公開しました。

Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
030 ルカ・パチョーリ 『算術、幾何学、比例、比率全書』 (ヴェネツィア、パガニヌス・デ・パガニニス、14[9]4年11月10-20日)印行
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Author : Lucas de Burgo S. Sepulchri [Luca Pacioli]
Title : Somma di arithmetica, geometria, proporzioni e proporzionalita. Prelim: Fa. Pompilius: Epigramma ad lectorem. Giorgio Sommariva: Epigramma ad auctorem (I, II).
Language : ita
Format : fº
Place of Publication : Venice
Printer : Paganinus de Paganinis de Paganinis
Date of Publication : 14[9]4-11
Binding : 16th-century wooden boards, modern calf on the spine, clasps missing, catches intact.
Bibliographical Notes : 308 leaves; a number of woodcut initials and diagrams, a woodcut historiated initial capital and woodcut border decoration on a1r.
Provenance : Accademia della Valle Tiberina Toscana (stamp; π1r).
ISTC : il00315000
Reference : Goff L315, HC (+ADD)4105, BMC V 457, IJL 201, IJL2 252, PP 100
Shelfmark : 141X@76@1
Acquisition Year : 1989

 本書はイタリアの数学者、ルカ・パチョーリによる最初の著作である。著者名Lucas de Burgo S. Sepulchriは、その出身地名(サン・セポルクロは、イタリアのトスカーナ地方南東部、今日のアレッオ県に位置する)を付けたラテン語名で、一般的には
Luca Pac(c)ioliとして知られる。パチョーリは若い頃から商業・会計と関連した数学を学び、特に同じ町の出身で、ルネサンス時代を代表する数学者にして大画家、ピエロ・デッラ・フランチェスカ(Piero della Francesca)に影響を受けたとされている。さらに19歳の頃、ヴェネツィアの大商人アントニオ・デ・ロンピアージ(Antonio de Rompiasi)邸に滞在し、子弟の家庭教師を務める傍らドメニコ・ブラガディーノ(Domenico Bragadino)から実用数学を学んだ。そして、1470年25歳のときにローマへ行き、フランシスコ会に入会した後、1475年頃からはペルージャ大学、ローマ大学、ナポリ大学などイタリア各地の大学で数学や幾何学の教鞭を取ったと言われている。
 1494年に再びヴェネツィアに戻ると、パチョーリは本書『算術、幾何学、比例、比率全書』(もしくは『スムマ』とも呼ばれる)の刊行を監督し、同年11月にパガニヌス・デ・パガニニス(パガニーノ・ディ・パガニーニ)印刷所から出版した。本書は、当時イタリアで普及していたユークリッド(IKUL 025参照)、ボエティウス(IKUL 028参照)、レオナルド・ピサーノなどの数学・幾何学的知識をまとめた最初の数学全書である。特に本書は世界で初めて複式簿記の理論体系を紹介した印刷文献であることから、パチョーリは「近代会計学の父」とも称せられている。また1496年頃、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァが、おそらく数学に関心をもつレオナルド・ダ・ヴィンチの依頼を受け、パチョーリをミラノに呼び寄せたと言われている。
 本書には図や数式の木版図版がふんだんに用いられている。印刷を担当したパガニヌス・デ・パガニニスは木版画を多数挿入する印刷の経験が乏しかったため、パチョーリ自ら印刷に立ち会って指導したという。パチョーリは1498年にも、同じくパガニヌス・デ・パガニニス印刷所から、師匠フランチェスカが説いた黄金分割や正多面体論をまとめた『神聖比例』を上梓している。
 本書の初版には3種類の異版が知られている。イタリアのインキュナブラ総合目録で7132、7133、7134の番号で区別されている。このうち、7132が初版第1刷であり、慶應本もこれにあたる。折記号π1r には 'Accademia della Valle Tiberina Toscana' の蔵書印が押されている。
 
 【参考文献】
 片岡泰彦 編『我国パチョーリ簿記論の軌跡』上下巻(東京: 雄松堂書店, 1998)
 『パチョリ簿記論』本田耕一 訳(東京: 現代書館, 1975)
 
 (ST)

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