Digital Gallery of Rare Books & Special Collections
インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
031a アントニウス・マンキネルス 『韻文論、または韻文長作品集』 ([ライプツィヒ、ヴォルフガンク・シュテッケル]印行、1496年)
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Author : Mancinellus, Antonius
Title : Versilogus sive De componendis versibus opusculum. With additions of Franciscus Mataratius and Johannes Sulpitius Verulanus
Language : lat
Format : 4º
Place of Publication : [Leipzig]
Printer : [Wolfgang Stöckel]
Date of Publication : 1496
Binding : Volume of seven texts [031a-g] in a contemporary German half pigskin leather binding over wooden boards engraved with blind stamping, using a ms fragment, a fully functional hook-clasp fastening with ornamental engraving.
Bibliographical Notes : Aaa-Ccc6 Dd8; 26 leaves; margins are ruled in red; sometimes paraph marks supplied in red; heavily annotated in a contemporary hand.
Provenance : Hartung und Karl, München 8 November 1988, lot 241.
ISTC : im00148000
Reference : Goff, M148, HR 10615, IJL 208, IJL2 260, PP44
Shelfmark : 120X@860@1
Acquisition Year : 1989

 本書は、15世紀末にイタリアの初期人文主義の影響のもとにラテン語で書かれた韻文作成の教則本で、現在のザクセン州ライプツィヒ市で印刷された。15世紀後半に活躍したイタリア人の著述家アントニウス・マンキネルスはイタリアのベリテルニに学校を持ち、国内はおろか北ヨーロッパ諸国でも広く知られ、彼の数多くの作品が教科書として現存する。慶應本は、他の6編のラテン語で書かれた人文主義的テクストとともに同時代にまとめて一冊に製本され、ライプツィヒ大学で人文主義教育の現場で使われていた。本書の印刷業者ヴォルフガンク・シュテッケル(1473-1526?)はバーバリア地方で生まれた。ライプツィヒで「ケルンのアルヌオルド」という著名な印刷業者の工房に勤め、後にこの工房を継いだといわれる。1490年にエルフルト大学で学士号を取り、大学と密接な関わりのある印刷業者であった。
 北イタリアで作られた古典作家研究を中心とするテクスト(その多くはヴェネツィアで誕生した)は、北ヨーロッパに瞬く間に普及したとされている。本書にも引用されている15世紀末の人文主義者スルピティウス(?)の作品は、イタリアの出版と同年にドイツでも出版されたと言われている。本書は1496年にヴェネツィアとライプツィヒで印刷されたものである。ライプツィヒは当時経済的に最も繁栄した都市として一年に3回、国際的な本の見本市が開催されていた。そこではヴェツィアからの数多くの最新のテクストが展示された。海外から流入された書物は直接大学には入らず、ライプツィヒの印刷業者や大学教師たちによって地元の読者のために改編されたと考えられる。
 印刷業者と関係が深かった大学教師たちは、イタリアから輸入されたテクストの註釈に関心を持ち、これらを授業に採用したことが分かっている。本書の構成は、本文にマタラティウスとスルピティウスという2人の人文主義者の注釈が付け加えられているが、主な収録はマンキネルスの部分である。作者と注釈者の違いは印刷本のレイアウトにうまく表わされている。印刷業者は勉強の便宜をはかるため、本文の行間にスペースをとったが、注釈の方には行間をとらずに印刷をした。このような印刷本の特徴は、実は学生達のためではなく、教師のためのものだったと考えられている。イタリアの人文主義作家の論評は、教師が読後に学生達に書き取らせたと言われているので、本書のテクストもマンキネルスの部分とマタラティウスやスルピティウスによる論評の部分は、最初は別のものであったと考えられよう。
 
 (StN)

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