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インキュナブラコレクション
[ Japanese / English ]
040 『リヨン式ミサ典書』 (リヨン、ペトルス・ウンガルス印行、1500年4月16日)
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Author :
Title : Missale Lugdunense (Lyons)
Language : lat
Format : fº
Place of Publication : Lyons
Printer : Petrus Ungarus
Date of Publication : 1500-04-16
Binding : 17th-century English armorial binding, speckled calf, gilt spine and edges; the book with marbled edges.
Bibliographical Notes : +10 a-n8 o6 p-x8 y4; A-E8 F10 G-K8 L10; Keio copy wants L10, last blank; woodcut illustrations are decorated and painted in colours; initial capitals and rubrications filled in red; printed area ruled in red throughout; several marginalia in a contemporary hand; on ten blank leaves at the end (and several other leaves) are manuscript hymns and prayers in the same hand, and the transcription of a papal Bull of Leo the Tenth, from 1514.
Provenance : 1. Lyons, Chapel of St. Mary Magdalena (a17th-century inscription 'Pro Sacello B. Magdalence Ecclesiae Lugd.' on title page). 2. Thomas Weld (1773-1837; bookplate). 3. Otto Schoeffer.
ISTC : im00670200
Reference : IJL2 277
Shelfmark : 141X@128@1
Acquisition Year : 1999

 中世に制作された彩色写本の多くは、聖務日課書、ミサ典書、詩篇、あるいは時禱書といった典礼書や祈祷書の類であり、貴族や高位聖職者のために注文生産された写本のなかには、当時の代表的な画家による細密画を含んだ豪華なものも多い。印刷本の時代になると、そうした豪華さを少しでも再現するために、数多くの木版画で飾り、手彩色の欄外装飾を施した典礼書や時禱書が次々と刊行された。本書は大部なフォリオ版のリヨン式典礼のミサ典礼書だが、彩色写本の豪華さを再現しようとする試みが顕著に認められる。暦、祝日と週日の固有文などの通常のミサ典礼書の内容に加えて、楽譜も9ページ含んだ、いわゆる「典譜付きミサ典書」(Noted Missal)である。ルブリカ(指示書き)は赤で印字され、大半のページには罫線あるいは欄の枠が、赤で手書きで引かれている。冒頭のページは、15世紀末のフランスの時禱書のスタイルに似た手書きの欄外装飾で飾られている。小鳥や木イチゴなどのモチーフを配した草花文様と、ソロモンを描いた挿絵入り頭文字が余白を埋め尽くし、さらに下段には所有者の紋章が描きこまれている。また、本書には「君臨するキリスト」と「磔形」を描いた見開きの全ページ大木版画2点があるが、それぞれに丁寧な手彩色が施されている(フォリオ cv-cir)。他にキリストの生涯などを描いた挿絵入り頭文字が31点含まれており、いずれも彩色されている。16世紀初頭の印刷による典礼書や時禱書では、木版の挿絵に手彩色を施すことは珍しくないが、本書は特に豪華に装飾されていると言える。
 本書を印行したのはペテルス・ウンガルス(Peterus Ungarus)で、名前が示すようにハンガリー出身と思われるこの人物は、1482年からリヨンで活躍していたことが知られている。
 慶應本には巻末に十数葉の白紙があるが、それらは、16世紀の筆跡で書かれた祈祷文や賛美歌のほか、法王レオ十世の教皇教書で埋められている。タイトルページに 'Pro Sacello B. Magdalence Ecclesiae Lugd.'という、リヨン大聖堂のマグダラのマリア礼拝堂に関係する17世紀の筆跡による書き込みがあることから、本書が出版地のリヨンで実際に使用されていたと推測される。しかし装丁は17世紀のイギリスのスタイルなので、早い時期にイギリスに持ち込まれたのであろう。表表紙の裏には、19世紀のThomas Weld-Blundell(d. 1887年)の蔵書票が見いだされる。Weld家はドーセット州、Lulworthの古いカトリックの一族である。また、Thomas Weld-Blundellが相続によりその家名を継いだ親戚のBlundell家も、ランカシャーの古いカトリックの家系であった。Thomasの伯父のThomas Weld(1773-1837)は枢機卿にまでなった人物で、さらにその父のThomas Weld of Lulworth(1750-1810)は、フランス革命の難を逃れてイギリスに渡ってきたカトリック教徒を援助し、亡命してきたイエズス会士のためにStonyhurst Collegeを寄付し、Lulworthでトラピスト派の修道院を経営していた。本書が代々敬虔なカトリック教徒の一族によって受け継がれてきたことは明らかである。
 ISTC(インターネット版)によると、本書はリヨンの大聖堂図書館に4部(内完本は2部)、ヨークの大聖堂図書館に1部現存するのみで、極めて希少である。
 
 【参考文献】
 Bibliographia Liturgica: Catalogus Misalium Ritus Latini Ab Anno M.CCCC.LXXIV Impressorum, ed. by W. H. Jacob Weale and H. Bohatta (London: Bernard Quaritch, 1928), no.548
 
 (TM)

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