著作権を理解する

著作物の利用(海外)

では、ここからは応用編です。

ここまで学習してきた「著作権」は、日本の法律に基づいています。しかし、当然ながら、著作物である絵画や映画、小説は国境を越えて伝わっていく要素が大きく、我々も、日々多くの海外の著作物に触れています。海外の著作物は日本でどのように扱われ、日本の著作物は海外でどのように扱われているのでしょうか。

それを定めているのが、条約です。著作権関係の主要条約として、

  • 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(ベルヌ条約)-1886年
  • 万国著作権条約-1956年
  • 著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約又はWCT)-1996年
  • 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約又はWPPT)-1996年

があります。日本はこれらの条約に加盟しています。
*年は条約の創設・採択年。



ベルヌ条約

ベルヌ条約は、著作権に関する最も基本的な条約です。米国、EU加盟全27ヶ国、中国、ロシア、大韓民国等164ヶ国(2010年3月1日現在)がこの条約のもと、互いの著作物を保護しあっています。ベルヌ条約の特徴は下記のとおりです。

  • 無方式主義(著作権の成立に登録などの手続を必要としない)
  • 内国民待遇(条約加盟国国民には、自国の国民と同じ扱いをする)
  • 最低限度の保護基準(各国の定める著作権法の最低基準を定めている)
  • 条約に基づく実体的権利の保護(保護を与える国で権利として認められていない場合でも、条約で認められている権利であれば、条約の下、直接に権利が保護される)
  • 法廷地原則(著作物の保護については保護を与える国の法令による)
  • 遡及効の原則(条約成立前の著作物についても、条約の効果が及ぶ)

つまり、ベルヌ条約に加盟している国の著作物については、「その国の法律がどのようであっても日本で利用する限りにおいては日本の著作権法が適用される」ということを示しています。ベルヌ条約の加盟国は、同条約を管理するWIPO(World Intellectual Property Organization, 世界知的所有権機関)のウェブページで確認できます。



万国著作権条約(ジュネーブ条約)

万国著作権条約は、ベルヌ条約に加盟している無方式主義の国と、ベルヌ条約に加盟していない方式主義の国との間をとりもつための条約です。ベルヌ条約と万国著作権条約の両方に加盟している場合には、ベルヌ条約が優先的に適用されます。2010年3月1日現在、万国著作権条約加盟100ヶ国のうち、98ヶ国はベルヌ条約に加盟しています。未加盟国はカンボジアとラオスの2ヶ国のみなので、万国著作権条約の実質的意味はないといえます。

©KITIE2005

上記の記載が、図書や写真等にあるのを見たことがあるかと思います。これは、そもそも、ベルヌ条約加盟国が万国著作権条約のもとで著作物の保護を求めようとするための保護方式として©マークと著作権者名と最初の発行年の3者を一体として表示したものでした。例えば、米国がベルヌ条約に加盟した1989年までは、日本や欧州の出版物の著作物が米国で保護されるために非常に重要でした。しかし、現在は、©マークの法律上の意味はなく、著作権者を表すために記載されているようです。


著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約又はWCT)
実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約又はWPPT)

デジタル化、ネットワーク化の進展に対応して、著作権・著作隣接権を保護するための条約です。

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